・できるだけ速く見る

・理解せずにただ見る

・1回目より2回目を多く!

・自分の速読の限界にチャレンジ!

※ 3回計測します。

 吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗い39

じめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人89

間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族であっ123

 

たそうだ。この書生というのは時々我々を捕えて煮て食うという話である。しかしその当163

時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌に載せられてスー205

と持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちつ245

いて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始であろう。この時妙なものだと思286

た感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで327

やかんだ。その後猫にもだいぶ逢ったがこんな片輪には一度も出会わした事がない。のみ368

ならず顔の真中があまりに突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙を408

 

吹いた。どうもむせぽくて実に弱った。これが人間の飲む煙草というものである事はよう449

やくこの頃知った。この書生の掌の裏でしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらく491

 

すると非常な速力で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗に532

眼が廻る。胸が悪くなる。到底助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が572

 

出た。それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。612

 

 ふと気が付いて見ると書生はいない。たくさんおった兄弟が一匹も見えぬ。肝心の母親654

 

さえ姿を隠してしまった。その上、今までの所とは違ってむやみに明るい。眼を開いてい695

 

られぬくらいだ。はてな何でも様子がおかしいと、のそのそ這い出して見ると非常に痛い。736

 

吾輩は藁の上から急に笹原の中へ棄てられたのである。761

 

 ようやくの思いで笹原を這い出すと向うに大きな池がある。吾輩は池の前に坐ってどう800

 

したらよかろうと考えて見た。別にこれという分別も出ない。しばらくして泣いたら書生842

がまた迎に来てくれるかと考え付いた。ニャー、ニャーと試みにやって見たが誰も来ない。883

そのうち池の上をさらさらと風が渡って日が暮れかかる。腹が非常に減って来た。泣きた923

 

くても声が出ない。931

​「吾輩は猫である」夏目漱石 より引用

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